「かかとが痛い!」とお悩みの方にとって、病院へ行くべきなのか、それとも自宅ケアで十分なのか、もしくは放っておいても自然治癒するのか等、何かと気になりますよね。
かかと(踵)は、身体の中でも毎日使い、特に負担がかかる場所であるにも関わらず、ケアを怠りがちですので、少しでもかかとの異変を感じたら、我慢せずにすぐに対処することが大切です。
そこで今回は、かかとが痛いときに考えられる病気と対処法をご紹介します!
かかとが痛いときに疑うべき病気と対処法10
かかとの痛みの特徴と場所で病気を判断する
かかとに痛みが生じるシーンやタイミングによって、どのような病気が考えられるのかをある程度判断することができます。
さらに、足の酷使やスポーツ等で年齢を問わず発症する病気、加齢によって発症する病気に分けることができます。
痛風でかかとが痛くなるケースも考えられますが、足の指の付け根に痛みが起こることがほとんどであり、ご紹介したもののいずれかの可能性が高いです。
1 起床後の数歩が痛い!足底腱膜炎
かかとが痛い時に疑うべき病気の筆頭に挙げられるのが、足底腱膜炎(そくていけんまくえん、足底筋膜炎(そくていきんまくえん)と同じ病名)です。
足底腱膜炎の特徴は、歩き出した直後にかかとに痛みが生じるものの、しばらく歩いていると痛みを感じなくなることです。
ただ、それも最初のうちだけで、対処せずに放置していると、足の裏の痛みが強くなり、歩いたり走ったりしている最中も痛むようになります。
足底腱膜炎の原因と発症しやすい人
足底筋膜とは、足底のかかとの骨(踵骨)から土踏まずを通って伸びている厚い腱で、扇形のアーチ状をしているのですが、足底筋膜と踵骨のつなぎ目にあたる腱様組織が切れる(断絶)ことで、痛みが生じるのです。
そして次のような方に発症することが多いです。
足底腱膜炎の対処法
足底板を入れた靴を履く
起床直後やしばらく座っていた状態は、足底腱膜が固くなっています。
その状態で歩き出すと、自分の体重で腱様組織が引っ張られて断絶し、強い痛みが起こってしまいます。
そこで痛みが生じる場所に穴を開けた足底板を靴に入れることで、足裏にかかる自分の体重の負荷を分散することができます。
足底筋とアキレス腱のストレッチと筋力増強を就寝前と起床後に行う
足首から足、そして足裏全体のストレッチを行うことで、足底腱膜が固くなった状態をほぐして、痛みを生じにくくすることができます。
同様に足湯につかることも足底腱膜をほぐすのもおススメです。
尚、シップや塗り薬などの鎮痛消炎薬は一時的に痛みを緩和するだけで、根本治療にはなりませんので注意しましょう。
足底腱膜炎については、足底腱膜炎の原因と自宅で治すための5つの対処法も参考にしてください。
2 かかとを押すと激痛が走る踵骨棘
踵骨棘(しょうこつきょく)は、その字の通り、かかとの骨が棘状(トゲのように)に突出する病気です。
踵骨棘の特徴は、足底腱膜炎と類似しており、歩き出した直後にかかとに画びょうが刺さったような激痛が生じるものの、しばらく歩いていると痛みを感じなくなるというものです。
踵骨棘の原因と発症しやすい人
踵骨の棘状のものの正体は、足底筋膜と踵骨のつなぎ目にあたる腱様組織が切れて修復される際に、本来の組織ではなく、他の組織で修復されたものが骨化したものであり、男性にできやすい傾向があります。
踵骨棘の対処法
基本的には足底腱膜炎の対処法と同じで、かかとにかかる体重による負担を分散させることが有効で、そのためには
さらに、足底筋とアキレス腱のストレッチと筋力増強を就寝前と起床後に行うのも有効です。
上記の他に痛みが強い場合には、ステロイド注射で痛みを緩和することができますが、一時的な措置になります。
さらに、踵骨棘を改善するためには、足裏のバランスを整えて、意識して正しく歩くことが何よりも大切です。
かかとに負担のかからないようにすることで、半年から1年程度で踵骨棘が体内に自然吸収され、痛みは解消されます。
詳しく踵骨棘について知りたい方は、ヤバい踵骨骨折と踵骨棘の原因と対処法5つも参考にしてみてください。
3 かかとに体重をかけると痛い踵骨下滑液包炎
かかとの中心から後ろ側を押さえると痛い、熱を持ったように腫れていたり、歩き出しにかかとに体重を乗せると痛い場合は、踵骨下滑液包炎(しょうこつかかつえきほうえん)の疑いがあります。
踵骨棘の原因と発症しやすい人
踵骨下滑液包炎は、踵骨の下にある滑液包という筋肉や腱と骨の間にある滑液の嚢が腫れることで起こります。
滑液包は、通常は摩擦などによって起こる刺激を軽減するクッション的役目を果たしているのですが、何らかの原因で炎症を起こすと、腫れや痛み、灼熱感といった症状がかかとに現れるようになります。
滑液包はかかと以外にも、肩やひじ、そして膝などにもあり、正座の姿勢を長時間続けると膝が痛くなるのも滑液包炎の一つです。
踵骨下滑液包炎の対処法
踵骨下滑液包炎は、炎症を抑えて、かかとへの負荷を減らすことが改善への近道です。
そして無理な運動や外出は控えるようにしましょう。
4 パンプバンプの恐れもあるアキレス腱滑液包炎
アキレス腱滑液包炎の原因と発症しやすい人
買ったばかりの革靴やハイヒールを履くと、靴の縁とかかとの後ろが擦れて靴擦れが起こり、皮が剥けて出血することがありますよね。
一方、アキレス腱滑液包炎(あきれすけんかつえきほうえん)は、皮の内側である皮下にある滑液包に負荷がかかり、赤く腫れて痛むことです。
まれに踵骨棘が足底ではなく、アキレス腱側に突き出ている(上方棘)人もおり、その場合も、靴の縁とかかとの後ろが当たってアキレス腱滑液包炎になることがあります。
合わない靴を履き続けることでアキレス腱後滑液包炎が慢性化すると、パンプバンプと呼ばれる皮膚の腫瘍が起こり、さらに悪化するとかかとの後ろの骨を削って、滑液包の炎症を抑えなければ治らないケースもあります。
5 合わない靴が原因の踵骨後部滑液包炎
踵骨後部滑液包炎の原因と発症しやすい人
アキレス腱の外側の滑液包炎が炎症を起こすのがアキレス腱後滑液包炎、一方アキレス腱の内側の滑液包炎が炎症を起こすのが踵骨後部滑液包炎(しょうこくこうぶかつえきほうえん)です。
踵骨後部滑液包炎の対処法
基本的にアキレス腱滑液包炎と同じ対処法で治します。
場合によっては踵骨大結節の後上部を切除して治療します。
6 成長期の子どもや扁平足の人に多い踵骨骨端症
踵骨骨端症の原因と発症しやすい人
踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)は、スポーツ障害といわれるものの一つで、踵骨に衝撃や圧力が加わり、骨膜の炎症、踵骨に小さな骨折が起こることで発症します。
扁平足というと先天性というイメージがありますが、60歳過ぎから増加する加齢による後天性扁平足の方は、つま先立ちをしたり、歩いているときに内くるぶしの痛みやかかと痛み、そして踵骨骨端症を起こしやすい傾向にあります。
踵骨骨端症の対処法
また、踵骨骨端症は一度治っても、再びかかとに衝撃が加わる運動を始めると発症する再発リスクがあるため、痛みが気になる場合は整形外科で適切な診断を受けましょう。
7 踵骨の疲労骨折
スポーツを習慣にすることは、健康維持やストレス解消に良いことですが、ジョギングのような同じ衝撃が繰り返されるスポーツは踵骨への負荷が大きくなり、疲労骨折の原因となる場合があります。
特に履いているジョギングシューズの衝撃吸収が少ないと、さらに疲労骨折のリスクが高まります。
通常、疲労骨折は自然治癒しますが、かかとが痛い時はとにかく安静を心がけましょう。
また、食事面に気をつけて骨の新陳代謝を促し、丈夫でしなやかな骨を作ることも大切ですので、健康な骨を作るカルシウムだけでなく、カルシウムを骨に固定させるビタミンD、骨の材料となるタンパク質、強度を高めるビタミンC、カルシウムの吸収を高めるマグネシウムも食事に摂り入れるようにしましょう。
詳しく踵骨骨折について知りたい方は、ヤバい踵骨骨折と踵骨棘の原因と対処法5つも参考にしてみてください。
8 かかとの弾力性低下での痛みは踵部脂肪褥
踵部脂肪褥の原因と発症しやすい人
踵部脂肪褥(しょうぶしぼうじょく)とは、かかとを構成する分厚い脂肪組織が炎症を起こして痛む症状のことです。
かかとを力を入れて指で押すと、脂肪による弾力があり痛みは感じませんが、踵部脂肪褥の場合は、加齢・老化でその脂肪がすり減り弾力失われているため、力を入れて押すと踵骨に当たって痛みが生じます。
踵部脂肪褥の対処法
踵部脂肪褥は安静にしていることが第一ですが、ずっと寝ているわけにはいかないため、歩く際のかかとへの衝撃を吸収してくれるジェル・ヒールカップと呼ばれる、かかと用のインソールを靴に入れることで、痛みを軽減することができます。
9 ズキンとしたかかとの痛みや痺れは坐骨神経痛
坐骨神経は、腰の下から足裏にまで伸びる最も太くて長い末梢神経で、坐骨神経痛の症状の多くは、お尻や太もも、ふくらはぎに痛みやしびれが現れるのですが、かかと部分にも症状が現れることがあります。
坐骨神経痛の症状がある方は、かかとを刺激しないことはもちろんのこと、根本原因である坐骨神経痛の症状を軽減させることを優先しましょう。
10 かかとが割れて痛いときの対処法
そもそもかかとは全身の体重を支え、強い衝撃を受け止めるために、骨だけではなく、角質層が掌と共に最も厚い部分になります。
そこに、ヒールの高いサンダル、靴底が滑りやすいミュールなどを履き続けると、かかとに過剰な衝撃が加わり、皮膚の角質がますます厚くなってしまいます。
すると、かかとの皮膚表面の細胞にまで十分な水分が行き届かなくなって乾燥を引き起こし、かかとにひび割れや亀裂が入って痛むようになります。
そのため、定期的なかかとケアが必要になります。
濡れている状態でかかとを削ると、角質がどんどん厚くなり一向に症状が改善しないので、必ず十分に水気を拭き取った後にケアを行うようにしましょう。
かかと角質ケアは、週2回を目安に行うことをおススメしますが、ひび割れや亀裂がひどい場合には角質ケアができないため、角質を柔らかくする塗り薬などを処方してもらうために、一度皮膚科を受診するようにしましょう。
さて、『かかとが痛いときに疑うべき病気と対処法10』はいかがでしたか?
普段は気にしない足の裏のかかとですが、異変を感じたら、早急に何かしらの対処をすることが大切です。
整形外科へ行く時間がないというときには、靴にインソールを入れたり、かかとの下や足底にテーピングを貼ることで痛みを軽減することはできますが、あくまでもきちんとした貼り方をした場合に限ります。
忙しいからといって放っておくと、痛みが増して重症化することもあり、最悪の場合何ヶ月もの間、思うように行動ができなくなることもありますので、痛みが続く場合には整形外科できちんと診察を受けるようにしましょう。
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