背中の痛みの原因といえば、筋肉痛や打撲などがありますが、打ったわけでもないのに痛む場合には、内臓系の病気が隠れているかもしれません!
背中と一口にいっても、範囲が広く様々な臓器と接しているので、痛む場所によって疑うべき病気が違うため、所見を誤ると大変ことに成りかねません。
そこで今回は、背中でも痛みが、特に右側にあるときに考えられる病気、そして痛みの特徴と対処法をご紹介します。
背中の痛みが右側にあるときに疑うべき6つの病気と対処法
1 胆石症の症状と対処法
背中の右側に響くような痛みがある場合は胆石症の疑いがあります。
胆石は肝臓でできた胆汁が胆のうなどの中で固まってしまったもので、この胆石が胆管などで詰まると激痛を引き起こします。
胆石症痛みの特徴
背中の痛みは右側だけでなく肩までの広範囲にわたる場合、その他にもみぞおちから右側腹部にかけての痛みも伴います。
脂っこいものを食べた2~4時間後に痛みはじめ、数十分から数時間続くとなくなります。
背中の痛みがずっと残る場合は別の病気の可能性がありますので、次にあげるその他の症状と照らし合わせてみてください。
また、次のような症状が胆石症で現れます
- 吐き気、嘔吐
- 黄疸
- お腹の張り(膨満感)
- 発熱
- 尿の色が濃くなる
- 白い便が出る
胆石症の対処法
背中の右側の痛みなどの症状が出た場合は病院に行ってください。
胆石症の症状が出ている場合は胆管炎、膵炎などの合併症を発症していることもあるので注意が必要です。
症状がある場合は脂肪分の多い食事は避け、場合によっては絶食して抗生物質の点滴をします。
それと同時に胆石を取る治療をします。
胆石が小さい場合は石を溶かす薬を服用しますが、これで効果が得られない場合や胆石自体が大きい場合は以下の3つの方法が用いられます。
- 手術
- 胆管内に内視鏡を入れ、レーザー光線で石を砕く破砕療法
- 体外から衝撃波を送って胆石を砕く対外衝撃波胆石破砕療法
普段から暴飲暴食、脂っこい食事を避け、ストレスをためない生活をすることが胆石の予防になります。
2 胆のう炎の症状と対処法
背中の右側の痛みは胆石症の可能性がありますが、この胆石症と併発しやすいのが胆のう炎です。
胆のうは肝臓で作られた胆汁を貯めておく袋のような器官です。
胆のうや胆汁の通る胆管に胆石が詰まることで胆汁が留まることで、胆のうが細菌に感染してしまうのが胆のう炎です。
胆のう炎痛みの特徴
背中の右側からみぞおちにかけての持続的な痛みがあります。
胸まで痛みが達することもあり、狭心症と間違われることもあります。
痛みの程度は重苦しい鈍痛から激痛まで様々ですが、長時間続き次第に強くなっていきます。
また、次のような症状が胆のう炎で現れます。
- 発熱
- 嘔吐
- 黄疸
- 疲労感
- 尿の色が濃くなる
胆のう炎の対処法
症状が軽い場合は抗生剤で殺菌して経過を見ます。
症状が強い場合は入院し、絶食した上で点滴や抗生剤での治療をします。
炎症がかなり強い場合や胆のう炎の発作を繰り返している場合、胆石が原因の場合は回復手術や腹腔鏡手術で胆のうを摘出します。
胆石のある人が胆のう炎にかかることが多いので、普段から胆石を作らないよう、暴飲暴食を避け、ストレスをためない生活をしましょう。
3 腎結石、尿路結石の症状と対処法
尿路結石などの腎臓の病気でも背中の右側が痛む場合があります。
尿が排出される経路は腎臓→尿管→膀胱→尿道となっていますが、腎臓や尿管に結石ができる病気です。
結石の主な成分はカルシウムで、シュウ酸などと結びついて塊になります
カルシウム濃度が高まると大きくなるので、たくさん汗をかき尿量が少なくなる夏場に起きやすくなります。
腎結石、尿路結石の痛みの特徴
腎結石の場合、痛みはあまり強くなく、わき腹から背中にかけてなんとなく鈍い痛みを感じる程度のことが多いです。
わき腹から背中にかけての痛みは、腎結石が移動し、尿管で詰まってしまう、尿管が傷つくなどの状態になると激痛に変わります。
また、次のような症状が腎結石、尿路結石で現れます
- 血尿が出る
- 頻尿になる
腎結石、尿路結石の対処法
背中の痛みや血尿などの症状が出た場合は、まず病院に行きましょう。
特に強い痛みの場合は、尿管が詰まり、腎臓に尿がたまってしまっていることが原因の可能性があります。
その状態で放っておくと腎機能が低下する恐れがあるので、我慢して自分だけで対処しようとするのは危険です。
結石が小さく、強い症状が出ていない場合は尿と一緒に出てくるのを待つ場合も多いです。
結石が大きかったり、強い痛みを伴う場合は超音波で石を砕いたり、内視鏡で石をつまみ出すなどの処置をします。
普段から水分をまめに摂り、結石を大きくしないよう気をつけましょう。
4 腎盂腎炎の症状と対処法
腎盂腎炎も背中の右側に痛みが起きやすい病気です。
腎盂腎炎とは、腎臓が細菌に感染し高熱や背中の痛みの症状が出る病気です。
尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に送られます。膀胱の入り口には弁のようなものがついていて、膀胱に入った尿が尿管に逆流しないようになっています。
しかし膀胱炎などで弁がうまく働かないと膀胱の中の尿が逆流し、そのたびに膀胱の最近も一緒に尿管や腎臓に入って感染してしまいます。
腎盂腎炎の痛みの特徴
何もしなくても痛みはありますが、背中や腰をトントンと叩くと飛び上るほどの激痛を感じます。
また、次のような症状が腎盂腎炎で現れます
- 高熱
- 悪寒・震え
- 頻尿
- 残尿感
- 血尿
- 排尿痛
頻尿や血尿などの膀胱炎の症状と似ているので間違えやすいですが、膀胱炎では高熱が出ることはありません。
腎盂腎炎の対処法
腎盂腎炎の症状が出たらまずは病院に行きましょう。
解熱剤などで痛みや高熱をしのいだりしていると、腎臓の機能が弱ってしまったり、慢性腎盂腎炎に移行することがあります。
症状が軽ければ自宅療養も可能ですが、入院となることが多いようです。
自宅療養の場合は処方された抗生剤を必ず飲み切りましょう。
症状が軽減しても細菌が殺菌し切れなければ、また再発する可能性があるからです。
また、水分をなるべく多く摂り、腎臓や膀胱で増えてしまった細菌をなるべくたくさん尿と一緒に排出することも大切です。
5 肝臓がんの症状と対処法
肝臓がんでも背中の右側に痛みが起きることがあります。
肝臓がんは肝臓にできる悪性腫瘍のことです。
人間の体を作る細胞は分裂して増えていくものですが、悪性腫瘍は細胞が暴走し必要以上に増殖してできた塊です。
この悪性腫瘍がどんどん増殖していくことで、内臓の組織の働きを阻害するのです。
肝臓がんの痛みの特徴
痛みは肝臓がんの重症度によって違いますが、筋肉痛のような痛みから重度になると寝ていても痛みを感じるようになります。
また、次のような症状が肝臓がんで現れます
- お腹の右上部の痛みやしこり
- だるい、疲れやすい
- お腹が張って膨らむ(腹水)
- 食欲不振
- 黄疸
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気の初期には目立った症状が出ないことが多いです。
上記の症状もかなり病状が進んでからみられる症状です。
肝臓がん対処法
肝臓がんが疑われる症状がでた場合はとにかくすぐに病院に行きましょう。
腹水や黄疸などがみられる場合はかなり症状が進んでいる可能性があります。
上記の方法をいくつか組み合わせて使うことで、より効果的にがんの治療ができます。
6 病気以外の原因で起こる背中の右側が痛み
病気でなくても背中の右側が痛む場合があります。
筋肉疲労の場合
姿勢が悪い、バッグをつい右肩ばかりにかけてしまうなどの癖がある人は、体の右側ばかりが筋肉疲労を起こす可能性があります。
なるべく姿勢を正し、重いものを右側ばかりで持たないようにしましょう。
また、ストレッチなどで体の凝りをほぐすのも効果的です。
寝違えの場合
症状が出る場所は主に首ですが、痛みが広範囲に広まると背中が痛む場合があります。
背中の痛みは右側だけに限らず、寝違えた場所によって左側の場合もあります。
無理に動かすと炎症が余計にひどくなる可能性があるので、なるべく痛みを感じない範囲で体を動かしましょう。
また、痛みを感じる部分は炎症を起こしているので、冷やすのも効果的です。
痛みは2~3日がピークでその後徐々に軽減していきますが、痛みが長引いたり悪化するようであれば病院に行きましょう。
さて、『背中の痛みが右側にあるときに疑うべき6つの病気と対処法』はいかがでしたか?
特にいたみが強い場合は重い病気が隠れている可能性があるので、早めに病院に行きましょう。
胆石症、胆のう炎、肝臓がんの疑いがある場合は消化器内科、腎結石、尿路結石、腎盂腎炎は泌尿器科に行くことをおすすめします。
痛みは不調や生活の乱れを教えてくれる貴重なサインです。
たとえ少しの痛みでも自分の体をいたわる時と考えて、生活習慣を見直してみましょう。
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