リンパ腺が腫れると、何が原因なのか、とても気になりますよね?
通常リンパ腺の腫れは、体内に侵入した細菌やウィルスに対抗して免疫機能が正常に働いているので心配は不要ですが、場合によっては重大な疾患が隠れていることもあります。
そこでリンパ腺が腫れているときに考えられる病気の兆候と、対処法や予防策をご紹介します。
リンパ腺の腫れが示す11の病気の兆候と対処法
1 リンパが腫れる病気の原因と場所
リンパの役割
リンパ腺、リンパ節、リンパ管など、「リンパ」と付く言葉がいくつかありますが、それぞれの違い、そしてどのような役割を担っているか、よくわかりませんよね。
人間の体の中には、血管のように全身に張り巡らされているリンパ管があり、その中をリンパ液が流れています。
リンパ液というのは、毛細血管からにじみ出た無色または薄い黄色の透明な組織液のことで、古くなった細胞や水分、腸管で吸収された脂肪などの老廃物を運ぶ排泄運搬機能、そしてリンパ液の中には、体の外から侵入したウイルスや細菌を撃退してくれるリンパ球が含まれるため免疫機能という、人間の健康な体を維持していくのに必要不可欠な役割があるのです。
そして静脈にほぼ沿うように全身に張り巡らされているリンパ管には経路があり、その経路が合流する球状の組織をリンパ節といいます。
実はリンパ節の古い呼び名がリンパ腺であり、リンパ節=リンパ腺なのです。
リンパ節は、ウイルスや細菌を撃退するリンパ球を貯める機能、そして流れてきたリンパ液をろ過し、老廃物を取り除く機能の2つを持っています。
リンパ管はリンパ節を通るごとに太くなり、胸管を経て、最終的に首の付け根にある血管である静脈へと繋がります。
血管は心臓から酸素や栄養素を全身に届けるのが動脈、逆に全身から二酸化炭素や老廃物の回収のが静脈です。
つまりリンパ管と静脈は、流れているのが血液とリンパ液と違いはありますが、老廃物の回収という役割としては同じなのです。
リンパ節が腫れやすい場所と疑われる病気
体中にあるリンパ節の中で、腫れを引き起こしやすい場所、そしてリンパが腫れる原因として疑われる病気をご紹介します。
リンパ節に腫れが生じている場合に疑われる病気をご紹介します。
その他にも、運動不足や疲労で免疫力が低下し、リンパ節でのリンパ液をろ過が追い付かず、老廃物が貯まるとむくみ、腫れが生じることがあります。
次の章以降で身近で起こる病気を例に挙げて、具体的対処法をご紹介します。
2 普通の風邪でリンパ節が腫れる!早く治すためのポイント
寒い時期に限らず、季節の変わり目や、疲れがたまっている時に風邪をひく方は多いですよね。
通常の風邪の症状としては発熱、鼻水がありますが、喉の奥が腫れて水も飲めないほど痛む咽頭炎や扁桃炎を伴う場合には、喉に近い後頭部の下、耳下腺、首周りの頚部が腫れることがあります。
原因は風邪のウイルス感染に伴う急性化膿性リンパ節炎です。
熱があっても仕事を休めない等の理由で、すぐに解熱剤を服用すると、かえってウイルスや細菌を撃退するリンパ球が働かず、いったん熱は下がったものの風邪が長引くこともあるため、要注意です!
頚部リンパ節、耳下腺リンパ節のの腫れを抑えるためには、以下の事に気をつけて、風邪を早く治すことが先決です。
熱が下がり風邪が治るとリンパ節の腫れも引くことが殆どですが、依然としてリンパ節の腫れが残る場合には、内科や耳鼻咽喉科で診てもらうようにしましょう。
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3 おたふく風邪でリンパ節が腫れる原因と対処法
春から夏にかけて大流行する、ムンプスウイルスが原因となって起こるのが流行性耳下腺炎、通称おたふく風邪です。
名前の通り耳下腺のリンパ節が腫れ上がる、急性ウイルス感染症になります。
おたふく風邪を発症しやすいのは1~9歳までの子どもですが、ムンプスウイルスに感染しても全体の30%程度は発症しません。
特徴としては高熱と片側の耳下腺が腫れ上がり、場合によっては両側の耳下腺が腫れることがありますが、1週間から10日程度で症状は治まります。
残念ながら、ムンプスウイルスに効く薬はないため、事前のワクチン接種で感染を防ぐか、感染した場合には次の対処法で治すしか方法はありません。
注意したいのがおたふく風邪の合併症で、髄膜炎、すい臓炎、脳炎、難聴、精巣炎などを引き起こすことがあります。
食べたものを吐いてしまう、強い腹痛や頭痛の症状がある場合には合併症の可能性があるため、病院で診てもらうようにしましょう。
また、おたふく風邪は子どもの頃に感染・発症していない、大人にも感染・発症する可能性はあります。
4 外耳炎中耳炎が元でリンパ節が腫れる場合の対処方法
外耳炎や中耳炎などといった耳の炎症で、耳の下の耳下腺、首周りが腫れることがあります。
大人の場合、耳の構造からして中耳炎にはなりにくいのですが、かかってしまうと、重症化することも多いため、子供だけの病気だと決めつけないのが賢明です。
耳の異常と併せて、首周り、耳下の腫れがある場合には、すみやかに耳鼻咽喉科に行きましょう!
5 リンパ節の腫れ原因となる虫歯や口内炎の予防方法
唾液の分泌量が減ることで、口の中に細菌が唾液腺から侵入して炎症を起こし、耳下腺、顎下が腫れる唾液腺炎になることがあります。
唾液腺炎になると、リンパ節の腫れだけではなく、虫歯や発熱、味覚障害、頬から顎にかけてが腫瘍のように腫れることもあります。
また、虫歯を放置していても、酷くなりにつれて、歯茎やリンパ節が腫れるなどの症状が出ることがあります。
唾液分泌が少なくなって口の中が乾くようになった場合には、こまめな水分補給で口の中を潤し、ガムを噛んで唾液を積極的に出すようにしましょう。
さらに虫歯は歯科でしっかりと治療することが大切です。
そして、口の中のトラブルとして多いのが口内炎ですが、実は傷口から細菌が入り込み、炎症が悪化すると、首周りが腫れる急性化膿性リンパ節炎の一つである頸部リンパ節炎になることがあります。
口内炎にならないためには、日頃から口内ケアを徹底することが大切です。
唾液分泌の減少で口の中が乾く、口内炎がなかなか治らないなどの口腔内トラブルと併せてリンパ節の腫れがある場合に、まずはかかりつけの歯科医院で診てもらい、さらに歯医者さんと相談の上で耳鼻咽喉科、皮膚科、口腔外科などへ行くことも検討しましょう。
6 キスで感染する?伝染性単核球症でリンパ節が腫れた場合の対処法
伝染性単核球症には、EBウイルスの初めて感染した直後に発症することが多く、乳幼児から10代後半、そして20代でもよく見られる病気です。
「キスで感染」と言われると何だか驚いてしまいますが、伝染性単核球症の原因はEBウイルス(エプスタインバーウイルス)感染で、次のような症状が起こります。
特徴としては、発熱が2週間程度続くこと、喉が赤く腫れ上がり、白い粘膜状のものが喉全体に見られること、そして首のリンパの腫れが1か月程度という長期間続くことです。
EBウイルスに感染すると、唾液の中にウイルスを排出するため、感染者とストローを使い回してドリンクを飲む、感染者である親から子どもへ、恋人同士へのキスで次々感染が広がるため、通称キス病とも呼ばれています。
発熱や疲労感から、初めは風邪だと思われがちですが、喉の痛みが引かない、熱が2週間以上経っても下がらず首のリンパの腫れが強く出る場合には、速やかに内科を受診しましょう。
伝染性単核球症は、非ステロイド性の抗炎症薬等の投与による治療、あるいは安静にしていることで自然治癒していきます。
ただ、伝染性単核球症は、おたふく風邪のように1度かかると二度と発症しない病気ではなく、免疫力が低下した際などに、口唇ヘルペス同様に何度も再発する病気です。
くれぐれも感染直後は安静にして、人との密接な接触やキスは避けるようにしましょう。
7 猫に引っかかれてリンパ節が腫れた場合の対処法
普通の切り傷や擦り傷といった皮膚損傷があると、そこから細菌が入って炎症が起こると、傷口の近くにあるリンパ節が腫れることがあります。
そこで自然治癒力を活かして早く効果的に傷を治すための対処法をご紹介します!
ただし、猫に引っかかれたり、噛まれた傷口近くのリンパが腫れている場合には、ネコノミが持つバルトネラ・ヘンセラ菌による感染で起こる「ネコひっかき病」の可能性が高いため、上記の対処だけでは不十分です。
猫に手や腕を引っかかれたり、噛まれたりする場合が多いため、ひじの内側にある肘部リンパ節、わきの下の腋窩リンパ節が腫れることが多いです。
ネコひっかき病による腫れの症状は、抗生物質を投与することで完治しますが、時間を要することがあります。
感染予防のためには、猫からネコノミを退治すること、爪を切る等手入れすること、そして野良猫などに近づかないことが大切です
8 結核性リンパ節炎の原因と対処法
結核性リンパ節炎は、昔は不治の病として恐れられていた肺結核を引き起こす細菌である結核菌感染で起こるリンパ節炎です。
結核菌保菌者からの空気感染で、結核菌が肺に入って増殖すると、肺の近くにある肺門リンパ節、縦隔リンパ節に転移し、その後首周りの頚部リンパ節へと転移することでリンパの腫れが生じます。
また、肺門リンパ節、縦隔リンパ節が腫れると、気管支が圧迫、肺の一部が潰れた状態になる無気肺となり、無気肺、閉塞性肺炎などになります。
さらに頚部リンパ節が腫れると、首の腫れをはじめ、皮膚に穴が開く穿孔や膿が出るなどの症状が現れるようになります。
肺結核はストレプトマイシン、ヒドラジドなどをはじめとする抗結核薬剤治療が可能なため、不治の病ではななくなりました。
ただ、きちんと治療しないと肺結核の再発、そして肺結核が完治しても、縦隔リンパ節が腫れが再発することもあるため、長期間にわたる根気強い治療が必要です。
9 首のリンパが腫れる原因不明の壊死性リンパ節炎の対処法
壊死性リンパ節炎は亜急性壊死性リンパ節炎とも呼ばれ、発見者の日本人教授の名前で菊池病とも呼ばれる病気です。
何人かの女性芸能人も発症したと公表したとマスコミ発表したことで、注目されるようになった壊死性リンパ節炎は、ウイルス感染が原因なのか、細菌感染が原因なのかも含めて詳細がわかっていない病気です。
医師によってはリンパ節を採取して詳しく調べる検査を経て病名の診断まで時間がかかるケースがあり、その間も高熱やリンパ腫れに伴う痛みが続くため、大変な我慢を強いられます。
残念ながら治療法が確立されていないため、鎮痛解熱剤、ステロイド剤などで症状を緩和する対処療法を行い、根気強く人によっては最大で3か月程度かかるとされる自然治癒を待つしかありません。
さらに人によっては1度ではなく2度、3度と再発することもあるため、注意が必要です。
高熱と首のリンパの腫れが数日続くようであれば、内科か耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
10 リンパ節の腫れとしこりの見分け方
リンパ節の腫れの大半は一過性のもので、数日から1週間ほどで自然と消えていくものですが、場合によっては、サルコイドーシスと言われるしこり、悪性腫瘍などの重大な病気が隠れていることがありますので、腫れ具合をきちんと確かめることが大切です。
そこでリンパ節の腫れを放置しておいてもいいかどうかの見分け方をお伝えします。
上記に当てはまる場合には、病院で診察してもらうようにしましょう。
11 リンパ浮腫・むくみを解消するリンパドレナージの実践方法
むくみとはリンパ浮腫のことで、症状が現れる場所が左右どちらかの太ももからふくらはぎにかけての脚全体の場合には、子宮がんや乳がん、卵巣がんといった女性特有のがん手術後の後遺症として現れている可能性があります。
また、手術で太ももの付け根の鼠径部、わきの下のリンパ節を切除した場合にも、腕や脚にリンパ液溜まってリンパが腫れます。
さらに体の抵抗力が落ちているときにも、むくみは出やすい症状でもあります。
実はリンパ節やリンパ管にはリンパを流す役割だけで、血液を押し出す心臓のようなポンプ機能は一切なく、リンパ液を流すためには、筋肉を動かして刺激を与えなければなりません。
そこで、リンパ液の流れを促進する、リンパドレナージの方法をご紹介します。
さて、『リンパ腺の腫れが示す11の病気の兆候と対処法』はいかがでしたか?
大人になると、リンパ節が腫れること自体が少なくなりますが、日々のストレスや疲労によって免疫力が落ちていると、ちょっとした疾患であっても、腫れが生じることがあります。
健康的な日常生活を心がけ、体調が少しでもおかしい?と感じたら、十分な休息をとることが大切です。
リンパ節が腫れてしまった場合は、焦らず適切に対処するようにしましょう!
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