唾液腺が腫れる原因と対処法

唾唾液腺が腫れる原因と対処法

唾液腺とは唾液を作って口の中に供給してくれる大切な器官ですが、唾液腺に腫れが生じる事態が起こると、ドライマウスや虫歯、口内炎などの身近なトラブルの他に、結石や腫瘍ができるなどの深刻なトラブルが起きることがあります。

唾液腺の腫れはいくつかの病気に関連しているため、『腫れ=病気のサイン』と捉えて注意することが必要になります。

そこで今回は、唾液腺の腫れに潜む病気と対処するための方法をご紹介します。


唾液腺が腫れる原因と対処法


1 唾液腺と唾液の大切な役割


唾液腺、顎下腺、耳下腺、舌下腺で構成される大唾液腺、口唇腺、頬腺、口蓋腺、舌腺で構成される小唾液腺の総称です。

唾液腺から分泌される唾液は、実に99.5%が水分でできていますが、残る0.5%にさまざまな成分が含まれているのです。

唾液に含まれる成分

  • 酵素(アミラーゼ・マルターゼ)
  • 血清(アルブミン・グロブリン)
  • ムチン
  • リゾチーム(酵素)
  • 尿素
  • 尿酸
  • レアチニン
  • ナトリウム
  • カリウム
  • クロール
  • 炭酸カルシウム
  • 燐酸カルシウム
  • ロダンカリ
  • フッ素

唾液には、口の中を湿らせて食べ物を飲み込みやすくしたり、口の中の病原菌を殺菌し体内への侵入を防ぐ、虫歯予防や口臭悪化予防、話すときに発音しやすくする潤滑油の役割など、いずれも重要な役割を担ってくれています。

大切な唾液が唾液腺の炎症で分泌されなくなると

  • 口の中が異常に乾く
  • 食事のときに必要以上に水分摂取が必要になり太る
  • 口の中が乾いて会話しづらい
  • 味が分からない味覚障害が生じる
  • 虫歯ができやすくなる
  • 口内炎ができやすくなる

このような問題が起こるようになります。

「唾液が出るのは当たり前」と考えていると、唾液腺が腫れで分泌が止まったときに、大変な目に合います。

口内を歯磨きやうがいで、常に清潔に保つことが唾液腺の腫れを予防するための、小さいですが大きな一歩になりますので、食べたあとの歯磨きやうがいは怠らないようにしましょう。


2 唾液量の低下が招く唾液腺炎


唾液には、口の中を殺菌するという働きがあるので、適度に口中が潤っているくらいの量が必要なのですが、唾液の量が減ると口の中の常在菌が殺菌されずそのまま口の中に残ってしまい、その菌が唾液腺に入り込んで炎症を起こしてしまうのです。

これが唾液腺炎で、唾液腺自体の機能低下、唾石、薬の服用による副作用や脱水症状で口の中の唾液量が減ることで引き起こされます。

唾液腺炎になると、口の中の虫歯や口内炎、味覚障害などのトラブルの他にも、発熱、体のだるさ、リンパ節の腫れ、唾液腺開口部の腫れが起こり、さらに唾液腺炎が慢性化すると、頬と顎の間にコブのような腫瘍が生じるようになります。

治療法は、抗菌薬、抗アレルギー剤、ステロイド剤の服用と併せて抗菌性のうがい薬で、口の中を清潔に保つことでまず対処します。

唾液腺炎を防ぐためには、日ごろから出来る対策として、水分をまめに摂る、ガムを噛むなどが有効です。


3 ウィルス性唾液腺炎はおたふく風邪


おたふく風邪は、唾液腺を構成する耳の下の顎のくぼみにある耳下腺が、ムンプスウィルスの感染により腫れて高熱が出る病気です。

主に幼児期に感染することが多く、一度感染すると免疫ができるため以後発症することはありません。

ムンプスウィルスの潜伏期間は2~3週間で、片側の耳下腺が腫れ、その後反対側の耳下腺も腫れ、さらに顎下腺や舌下腺も腫れ、ひどい痛みに加えて発熱が生じます。

おたふく風邪の回復までには、最低でも7日~10日が必要で、まれに合併症で無菌性髄膜炎を併発、難聴になることもあります。

ムンプスウィルスに効く特効薬はないため、外出せずに家の中で静養して症状が治まるのを待つしかありません。

ただ、ムンプスウィルス予防にワクチン接種が有効なため、大人でおたふく風邪になったことがない方は病院で予防接種を受けることをおススメします。

なぜなら、大人がおたふく風邪にかかると、男性の場合は睾丸が激しい痛みと共に腫れあがる急性精巣炎に、女性の場合は下腹部痛が起こる急性卵巣炎を起こす場合もあります。

男性は急性精巣炎が両側の睾丸に起こると精巣の萎縮が起こり無精子症になることがあり、女性の場合は急性卵巣炎で不妊症になる可能性もゼロでないため、おたふく風邪予防が重要になります。


4 ドライアイ・口の中の乾燥・リウマチを伴うシェーグレン症候群


シェーグレン症候群は、ドライアイともいわれる乾燥性角結膜炎、唾液が減少することで口の中が乾燥する口腔乾燥症、慢性関節リウマチを伴う疾患として、眼科医の結膜炎シェーグレンによって報告された疾患です。

シェーグレン症候群の症状

口の中の症状

唾液の減少で口内が乾燥して虫歯、口内炎ができやすくなり、さらに咀嚼障害、味覚障害、発音障害が起こるようになり、

目の症状

涙腺の分泌に異常が起こり、目に異物感や強い痛みを感じたり、目の疲れを感じるようになります。

耳の下の症状

耳下腺が腫れを起こすようになります。

シェーグレン症候群を発症するのは更年期にあたる40代から50代の女性が圧倒的に多く、最初は口の中、目に起こる1つの症状と思われがちです。

ただそれぞれの症状が重なり、かつ長期にわたる場合は、シェーグレン症候群を疑う必要があります。

治療は副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤、さらに目の乾燥には人口涙液、口の乾燥には人工唾液や洗口剤が使われます。


5 唾液の分泌障害と口の中の乾燥が特徴のミクリッツ病


ミクリッツ病とミクリッツ症候群があり、両側の唾液腺および涙腺が痛みがないまま腫れる病気です。

唾液の分泌障害と口の中の乾燥が特徴

ミクリッツ症候群は、結核、梅毒などの病気のせいでで唾液腺と涙腺が腫れますが、唾液腺と涙腺が腫れる原因不明の病気がミクリッツ病なのです。

ミクリッツ病は、非ステロイド性消炎剤で治療を行い。ミクリッツ症候群は元になっている病気の治療を優先させます。

シューグレン症候群とミクリッツ症候群・ミクリッツ病は症状は似ていますが、痛みを伴うシューグレン症候群、痛みを伴わないミクリッツ症候群・ミクリッツ病と異なる個所があります。


6 口の中に結石ができる唾石症


唾石症は、唾液腺、顎下腺にある顎下腺とワルトン管という導管、耳下腺に結石が詰まる病気で、食事の際に痛みを感じます。

原因は、唾液腺の剥離上皮や細菌が核になり、その周辺に唾液に含まれるカルシムが付着して結石となることです。

食事の際に違和感を感じ、舌の下の唾石ができて腫れたようになっていることで気づくことがありますが、何の自覚症状がないこともあります。

唾石に加えて、唾液排出障害がある場合には、導管から唾液腺に細菌感染が起こり、急性口底炎や急性顎下腺炎、顎下腺管炎を起こし、膿が出る唾膿漏に発展することもあります。

唾石は手術で摘出することができますが、再発してまたできることがあるため注意が必要です。


7摂食障害で起きる唾液腺の腫れ


接触障害、中でも過食と嘔吐を繰り返す摂食障害が原因で唾液腺の腫れが起こることがあります。

唾液腺からの唾液の分泌は、通常の食事では適切な量となっているのですが、一度に大量の食べ物を口の中に入れる過食の場合は、飲み込むためにたくさん噛む作業が必要になり、大量の唾液が分泌され演炎症が起きるようになります。

さらに大量に食べた反動で嘔吐を繰り返すようになると、胃酸が口の中に逆流して唾液腺の開口部が炎症を起こすようになるのです。

そうなると唾液腺の腫れに伴う顔のむくみや口の中の痛み、発熱を伴うようになります。

この唾液腺の腫れを治すためには、何よりも過食嘔吐を繰り返さないようにするしかありません。

ただ、摂食障害は簡単に治療できるものではないため、精神科や専門のカウンセラーへ相談することが解決の近道になります。


さて、『唾液腺が腫れて痛い時に疑うべき病気の対処法8つ』はいかがでしたか?

当たり前のように出ている唾液が、ある日突然分泌されなくなることで、口の中のトラブルだけではなく、体のあちこちに支障が出るようになります。

日ごろから口の中を清潔に保つだけで、まず唾液腺炎が起こるリスクが軽減し、口の中の乾き、虫歯、口内炎などを防ぐことができ、さらにその他の病気や感染症の軽減にも一役買います。

ぜひ歯磨き、うがいを毎食後欠かさないようにして、唾液腺の腫れを防いでいきましょう!

今回ご紹介した内容に関連する記事として

も併せてご覧ください。

まとめ

唾液腺が腫れる原因と対処法

1 唾液腺と唾液の大切な役割
2 唾液量の低下が招く唾液腺炎
3 ウィルス性唾液腺炎はおたふく風邪
4 ドライアイ・口の中の乾燥・リウマチを伴うシェーグレン症候群
5 唾液の分泌障害と口の中の乾燥が特徴のミクリッツ病
6 口の中に結石ができる唾石症
7 摂食障害で起きる唾液腺の腫れ


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