偏食とは食べ物の好き嫌いが極端で、食べられるものより食べられないものの方が圧倒的に多く、嫌いなものは全く食べないことをいいます。
子どもの偏食は親が何とかしようと努力し、克服されていくケースも多くありますが、大人になってしまうと自分で食べるものを選択できてしまうため、本人が克服しようと自覚して行動しない限りなかなか改善しません。
偏食を続けると栄養バランスが悪くなり、体の不調を感じるリスクが高まります。
そこで今回は、偏食がひどい場合に大人が陥りやすい健康被害と、偏食を克服する方法をお伝えします。
偏食がひどい大人が陥る怖い健康被害と克服する方法7つ
1 偏食による便秘
偏食をする人の中でも肉類を好んで食べ、野菜を食べない人に多い症状が便秘です。
腸内環境の改善には食物繊維が大きくかかわっています。
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、互いに違う働きで腸内の環境を保っています。
水溶性食物繊維は体内で水分を吸収するとゲル状に変化し、便を柔らかくしてくれるため便秘になりにくくなります。
また不溶性食物繊維は腸内で水分を吸収することで膨らみ、便の量を増やしてくれます。
便が増えると腸壁が刺激されるので、便を運ぶためのぜん動運動が活発になり、便秘を予防します。
野菜の中に多く含まれる食物繊維の摂取が少ないと、便の量が減りぜん動運動が起こりにくく、便自体も硬くなり便秘になってしまうのです。
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2 味が分からない?味覚障害
味覚障害も偏食が原因の一つと考えられ、1990年には患者数が14万人でしたが、2004年には24万人と1.7倍に上昇しています。
高齢者にも多い症状ですが、若い人の場合は偏食で亜鉛が不足していることが原因の場合が多いです。
亜鉛は舌の味を感じ取る器官「味蕾(みらい)」の細胞の新陳代謝に必要な働きをしているため、亜鉛が不足すると味蕾の細胞が若返らず、味覚を感じ取る感度が鈍くなってしまいます。
味覚障害と言っても症状は様々で、全く味を感じなくなる人もいれば、特定の味が分からなくなる人、全体的に味を薄いと感じてしまうこともあります。
味覚がおかしくなってしまえば美味しいと感じる食べ物が限定されてしまい、さらに偏食が酷くなってしまいます。
味覚がおかしいと感じたら病院へ行くなどして、早めに対処しましょう。
3 肥満・糖尿病
偏食の人の中でも炭水化物や甘いものばかり食べる人、甘いものや炭水化物と油っこいものを一緒に食べている人は肥満や糖尿病に注意が必要です。
炭水化物や甘いものは分解されるとブドウ糖になって筋肉細胞に使われますが、体内で備蓄できる量を超えてしまうと脂肪に変換され蓄積されてしまいます。
また炭水化物や甘いものばかりをたくさん食べると血糖値が急激に上がった状態になるので、体は血中の糖を取り込むインスリンというホルモンを脾臓から大量に分泌して、血糖値のバランスを取ろうとします。
その後血糖値が急激に下がったことで、ブドウ糖が体内で不足してしまい、「糖分がほしい」と脳が指令を出し、また甘いものや炭水化物が食べたくなります。
これを繰り返すことで、脾臓が疲労してしまい、インスリンが正常に分泌されなくなった状態を糖尿病といいます。
脂質は単独では肥満の原因にはなりません。
脂質のみで体内に入った場合は、小腸で体内に必要な分だけが吸収され、残りは排出されてしまいます。
しかし、脂質と一緒に炭水化物や糖質を取ってしまった場合、インスリンが分泌されます。
インスリンは血中の糖分を取り込み中性脂肪に変換する際、小腸でも体内に吸収する脂質の制限が外れるため、食べた分の脂質がそのまま吸収されてしまうのです。
4 偏食が原因の新型栄養失調とは
栄養失調と聞くと、食べるものが少なくて起きる症状と考えがちですが、偏食によっても起きることがあり、新型栄養失調と呼ばれています。
健康を維持していくためにはタンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素を体が必要な分だけ摂取する必要があります。
野菜ばかりを食べる人を見ると「健康的」と感じてしまいがちですが、野菜だけでは補えない栄養素もあり、どんな食べ物であっても偏食はよくありません。
偏食の人でこのような症状がある場合は、バランスの良い食事をするよう心がけましょう。
5 偏食を克服する調理法
偏食を克服するには、なるべく苦痛にならずに食べられるものを増やしていくことが重要です。
偏食の人は食べることに強いこだわりを持っているため、無理に食べることで苦痛を感じてしまうと続けることができなくなってしまいます。
そのため、なるべく自覚なく嫌いなものを食べられるよう調理法や味付けを工夫してみましょう。
6 限界までお腹を空かせる
ついつい好きなものを間食してしまい、いざ食事の時間になるとお腹がいっぱいで食べられないとなると、いつまでも偏食は克服できません。
お腹がすいている時に嫌いなものを出されれば、我慢して食べてみようと「食べるきっかけ」を作ることになります。
間食は避け、なるべくお腹を空かせた状態で食事を食べるようにしましょう。
7 食べられる食材で栄養のバランスが取れれば良しと考える
偏食で問題になるのは、偏った栄養素ばかりを摂ってしまうことによる肥満や栄養失調です。
食べられるもので栄養素がバランスよく摂取できていれば特に問題になることはありません。
例えば肉類が全く食べられない人が肉自体を食べられるよう克服するより、肉類に多く含まれるたんぱく質を豆腐や卵、魚などを食べることで補うことの方が簡単な可能性があります。
食べられるものを増やしていくことはもちろん大切ですが、克服に困難を感じるときは栄養素を別の食べ物から摂取できないか調べてみましょう。
さて、『偏食がひどい大人が陥る怖い健康被害と克服する方法7つ』はいかがでしたか?
偏食を続けると重篤な健康被害を引き起こす可能性があります。
食べられないものがとても多く、数少ない好きなものばかりを食べて生活している人は、まずご自身が「偏食をしている」ということを自覚し、少しずつ克服してみましょう。
さまざまな克服方法があるので、ご自身に合った方法を見つけてくださいね。
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