舌の病気や異常からわかる体の不調と対処法5つ

舌の病気や異常からわかる体の不調と対処法6つ

日常生活の中で特に意識することの少ない舌ですが、舌は私たちが食事をしたり、話をしたりするのに欠かせない重要な器官です。

舌にできてしまった口内炎や舌の色の変化、痛みなど舌に現れる症状は、舌の病気だけではなく、内臓の不調によって引き起こされているものもあります。

そのため、舌の状態から隠れた体調不良に気づき、不調が深刻になる前に対処することもできるのです。

とても優秀な器官である舌ですが、それ故に舌に何か異常が出てしまったらと思うと怖いですよね。

そこで今回は、舌の痛みや症状で体調不良や病気を見分けるコツと、舌の病気にならないために予防法をご紹介します。


舌の病気や異常からわかる体の不調と対処法5つ


1 舌について・舌の役割と構造


私たちが食事をしたり、話しをしたりするのに欠かせない舌ですが、舌には一体どのような役割があり、どのような構造をしているのでしょうか。

舌は筋肉でできた突起物であり、表面は口内と同じ種類の粘膜で覆われています。

舌の表面には乳頭と呼ばれる小さな突起が並んでおり、舌を構成する筋肉や乳頭、さらに舌を通る神経が、舌の動きや脳への感覚の伝達を助けています。

舌の構造が分かったところで、舌の役割について整理しておきましょう。

舌の役割とは

味覚を感じる

舌の表面にある味蕾は、味覚を感じるセンサーの役割をしています。食べ物の味は様々に感じられますが、基本の4つの味覚である甘味・苦味・酸味・塩味の混合です。

それぞれの味覚を感じる部分は異なり、甘味と塩味は舌尖(舌の先)、苦味は舌根(舌の奥)、そして酸味は舌体(舌尖と舌根の間の部分)にある味蕾によって感知されます。

嚥下

食べ物を口に入れてから飲み込むまで、舌は非常に重要な働きをしています。口内で食べ物を運ぶ、唾液と混ぜるなど、舌を使って食べ物を飲み込みやすい状態にしています。

発声

声帯から出た振動を音にするためには、出したい音に合わせて下の位置を変え、口腔内で共鳴させる必要があります。

このように、舌は食事や円滑なコミュニケーションに欠かせない器官なのです。

つまり、舌に何らかのトラブルが起きると、味覚障害や嚥下障害、言葉を上手く発音できないなどの症状が現れ、生活の質が低下してしまう可能性もあります。

健康な舌は、適度な厚み・大きさで表面が潤っており、色は薄紅色や鮮やかなピンク色で、舌苔が薄くついた状態です。

舌のトラブル以外にも、全身の隠れた不調が舌に現れることもありますから、舌に対する意識を高め、異常を感じた時は早めに対処するようにしましょう。


2 舌の痛みは体の不調のサイン?痛みの原因について


食べ物や飲み物を口に含んだ時、または何もしていない時でも、舌に痛みを感じることはありませんか?

舌がヒリヒリする、何かを口に入れた時に痛むなど、舌に感じる痛みとその頻度・程度は原因によって異なります。

そこで、舌に痛みがある時に疑われる疾患についてご紹介します。

舌に痛みがある時に疑われる疾患・トラブル

神経痛

どの神経に異常があるかで、痛みの出方が異なります。口を開く、噛むなどの動作をした時に瞬間的に痛む場合は舌咽神経痛、洗顔やメイクなどで顔に触れた時に痛みがある場合は三叉神経痛の可能性があります。

舌にできた口内炎

舌にできた傷にウイルスや細菌が感染し、炎症を起こします。ストレスや疲労などで免疫力が低下していると、口内炎になりやすくなります。

細菌の繁殖

食べカスや汚れが溜まり口内で細菌が繁殖すると、炎症が起きて舌がピリピリと痛むことがあります。予防のために、歯磨きをしっかり行うだけではなく、舌専用のケア用品で優しくケアし、口内と舌を清潔に保ちましょう。

義歯や詰め物が合わない、金属アレルギー

詰め物のサイズが合わない、素材に対してアレルギーを持っていると、舌が刺激され痛みが出ることがあります。歯の治療後から突然痛み出した場合は、歯科医師に相談して、詰め物を変えるなど原因を取り除くなどの処置が必要です。

口内炎や細菌感染による舌の炎症など、見た目の症状がある場合には、痛みの原因が特定しやすいですが、アレルギーや神経痛のように見た目の症状がない場合には、舌の痛みを軽く考えてしまいがちです。

放っておくと痛みが悪化したり、他の不調が現れたりする可能性もありますので、何か違和感がある場合は、早めに受診してくださいね。


3 ストレスや心の不調が引き金に?痛みが慢性化する舌の病気


舌に痛みを感じても、原因となっている疾患を完治させれば、舌の痛みを解消することができます。

しかし、舌に痛みを感じて医療機関を受診しても、特に異常が見つからないこともあるのです。

このような場合は、舌痛症と診断されるのが一般的で、見た目の症状もないことから、心因性の痛みであると考えられてきました。

ところが、舌痛症の患者さんの中には、口の中で細菌が繁殖することによって発症する、口腔カンジダ症を発症している方もいることが分かっています。

そこで、原因別に舌痛症の症状の特徴をご紹介します。

原因によって異なる舌痛症の症状

心因性

見た目の症状はなく、痛みはヒリヒリ、ズキズキなど様々に表現されます。痛みの強さは時間によって変動し、食事とは特に関係がありません。何か他のことをしていると、痛みを感じない方も多いです。

口腔カンジダ症

やけどのような、ピリピリした舌の痛みに加え、見た目にも変化が起こります。

主な見た目の症状は、

①白苔が出て、その下の粘膜に赤いただれが見られる
②白苔はないが、舌の表面が平坦になり赤くなるの2タイプです。

食事や会話など、舌を動かす時に強い痛みを感じ、熱いものや味の濃いものは食べられなくなることもあります。

舌の痛みが続く場合は、心因性の症状のこともありますが、それ以外の疾患や原因のこともありますから、本当の原因を知って、適切な治療を受けることが大切です。

また、舌痛症と症状の似ているものに、口腔灼熱症候群があります。

口腔灼熱症候群では、舌以外の口腔内全体や唇などにも痛みや出ますから、舌以外にも症状がある場合には、口腔灼熱症候群の可能性があります。

舌の痛みは、複合的な要因によって引き起こされていることも多いため、治療に時間がかかることもありますが、医師の指導の下、焦らず確実に治療していきましょう。


4 東洋医学の知恵!舌から隠れた不調が明らかに


東洋医学では、外からは見ることのできない体内の状態を舌の状態から判断する、舌診という診断方法が取り入れられています。

舌診では、舌の色・形状、舌苔の色や厚さなどに注目します。

そこで、ご自分の体調の管理にも役立つ、舌の状態から分かる体調不良について、簡単にご紹介します。

舌の状態から分かる体調不良の例

舌の色

白っぽい場合は、冷え性や体の機能が低下している可能性があります。風邪などで発熱している時には、舌が黄色になることもあります。また、青紫色の舌は、血流の悪化、代謝の低下を表しています。

舌苔の色

白い舌苔は、むくみや内臓が弱っている状態の時にできやすいです。厚みのある黄色の舌苔が見られる時は、消化器系の疾患が疑われますので、食生活の改善が必要です。

舌の両脇が赤くなる、斑点や筋がある

肝臓の疲れ、ストレスが溜まっている、自律神経失調などのトラブルが疑われます。

舌先が赤くなる、舌先に口内炎ができる

疲労や睡眠不足で、心の疲れが溜まっている時に現れやすい症状です。

舌の肥大

むくみが原因です。水分補給の方法を見直し、体を温めて水分の排出を促しましょう。

このように、舌苔は胃腸の状態、舌の肥大は水分代謝や血行、舌の色は内蔵の不調や体の冷えなどを象徴しています。

実際の診断には、経験と高度な専門知識が必要ですから、もっと詳しく診察して欲しい方は、漢方医や中医学の専門家を訪ねてみてくださいね。

定期的に舌の自己診断をして、不調を早期に発見したら、セルフケアで体調の悪化を予防しましょう。


5 舌の病気にならないためには?予防法について


舌の病気にならないためには普段の生活の中で、自分が出来る範囲でも予防を心がけることが大切!

そこで日常生活でできる、舌の病気にならないための対策をご紹介します。

舌の病気にならないための予防法

口の中を清潔にする

食べカスをエサにして、口内や舌の上で細菌が増殖し、口内環境の乱れから、舌の病気になりやすくなります。舌の表面についた汚れは歯ブラシ、もしくは舌専用のブラシで優しく取り除きましょう。

ストレスを溜めない

ストレスとの関連が指摘されている舌痛症や口内炎といった舌の病気のリスクが高まります。

睡眠をしっかりとる

睡眠不足によって、疲労の回復や細胞の再生が正常に行われなかったり、免疫力が低下したりすると、舌トラブルになりやすくなります。

バランスのとれた食事を心がける

食生活を整え、粘膜を保護し、粘膜や細胞の再生をサポートしてくれる、タンパク質やビタミン、ミネラルを積極的に摂取しましょう。

舌の病気の予防法は、心身の状態を整えて他の病気の予防にも効果の期待できる、ごく基本的なものが中心です。

毎日を元気に健康に過ごせるように、少し意識をすればすぐにでもできるものばかりですので、ぜひ実践してみてくださいね。


舌は味覚や消化のためだけではなく、体の不調を教えてくれる器官でもあり、舌の異常から胃腸の働きが弱くなっていることや、肝臓の病気のことまで分かります。

また、舌の病気は、ストレスや細菌繁殖、アレルギーなど様々な原因によって引き起こされる可能性があり、原因に合わせた対処が必要なこともお分かりいただけたのではないでしょうか。

舌の状態を観察する習慣を持つなどして、舌の病気や不調のサインを見逃さないようにしましょう。

今回ご紹介した内容に関連する記事として

も併せてご覧ください。

まとめ

舌の病気や異常からわかる体の不調と対処法5つ

1 舌について・舌の役割と構造
2 舌の痛みは体の不調のサイン?痛みの原因について
3 ストレスや心の不調が引き金に?痛みが慢性化する舌の病気
4 東洋医学の知恵!舌から隠れた不調が明らかに
5 舌の病気にならないためには?予防法について


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