パニック障害は、ふとした時にいきなりめまいや息苦しさ、動悸に襲われる「パニック発作」が出てしまうと、とてつもない恐怖を感じ、文字通りパニック状態に陥ってしまうのです。
誰でも罹ってしまう可能性がある病だからこそ、パニック障害を詳しく知り、きちんと向き合える知識を身につけましょう。
そこで今回は、パニック障害の原因と症状、そしてパニック障害に向き合う方法をご紹介します。
パニック障害の原因と症状を知って病気に向き合う方法
1 パニック障害とは?
前述しましたが、パニック障害とはふとした時にいきなりめまいや意気苦しさ、動悸に襲われて、「死んでしまうのではないか?」などと恐怖を感じる発作を起こす病気です。
パニック発作といい、いつ何時発生するかはわかりません。
パニック発作を繰り返すうちに、発作が起きることへの予期不安を感じるようになってきます。
更には、逃げ場の無い場所や、人の多いところでパニック発作が起きるのでは?との恐怖を感じるようになってきてしまいます。
これを広場恐怖といい、症状が悪化してしまうと一人での外出や電車に乗ることにも恐怖を感じてしまい、家でふさぎ込んでしまう悪循環が発生してしまうのです。
パニック発作が発症し、死にそうになりながら病院にたどり着いても、医師に診察してもらう頃には症状が治まっていることもよくあり、なかなか苦しさを周りに理解してもらえないのもパニック障害の特徴です。
周囲からは「気の持ちよう」や「心が弱いから」などと言われ、発作のつらさと周囲の目が気になり、どんどん気持ちが沈んで行ってしまいます。
その結果、うつ病も併発しやすくなり、パニック発作を伴ううつ病を「パニック性不安うつ病」と呼び、通常のうつ病とは分けて考えられています。
2 パニック障害の考えられる原因
主に脳内の神経伝達系の異常、遺伝的な要因と、育ってきた環境によって作られた要因、身体的な要因がありますが、脳の伝達物資のセロトニンが異常分泌し、ノルアドレナリンとのバランスが悪くなると発症します。
家族の中にパニック障害を発症している人がいる場合、通常よりも約4倍以上の確率でパニック障害を発症してしまいます。
更に、本人の性格がパニック障害へ大きく関係してきます。
元から神経質な性格や、心配性な人はパニック障害になる傾向が高いですが、普段から感じる不安感がきっかけとなってパニック発作が出てしまうことが多く見られます。
幼少期に経験したトラウマがパニック発作の引き金になるケースもあり、原因は一口に断定できないものになっています。
性別でいえば、女性の方が男性よりもパニック障害を発症しやすいというデータが出ています。
ストレスもパニック障害の大きな要因となります。
家族の死や恋人との別れで受けたショックが大きなストレスとしてパニック障害を引き起こすことがありますが、仕事でのストレスで発症した人も多く、先進国ではパニック障害の発症が多いとの統計が出ています。
3 パニック障害の治療法
次の3つが基本の治療法なっています。
- 投薬治療
- 認知行動療法
- 規則正しい生活
投薬治療
投薬治療では脳の伝達物質のセロトニンが過剰に分泌するのを防ぐためにSSRIという薬を服用します。
抗不安薬と併せて、まずはパニック発作の発症を抑えることから始まります。
SSRIは効果が出るまで服用から1カ月近くかかることもあり、その間にパニック発作が起こるのを防ぐために抗不安薬を用います。
認知行動療法
認知行動療法とは、過剰に不安や恐怖を感じてしまう心を自分の行動などと照らし合わせ、パニック障害との関連を知り、少しずつ行動をコントロールできるようにしていく精神療法です。
パニック障害を発症してから避けてしまっていた行動をとっていくことで不安や恐怖を取り除くことが目的です。
本人の努力がとても大切で、最初の段階では不安や恐怖との戦いになりますが、投薬治療によって予期不安が減ってくるので、じょじょに行動しやすくなってきます。
広場恐怖がなくなってくれば、治療も最終段階になってきます。
規則正しい生活
不規則な生活は止めて、3食きちんと食べ、軽い運動も生活に取り入れるようにしましょう。
食事の栄養面も気をつけ、体力の回復を図ります。
この時に、少し症状が回復したからと言って、薬の飲む量を減らしたりすることは絶対に止めてください。
安易な自己判断は回復を遅らせますので、必ず医師と相談のうえ薬の量を調節してください。
4 パニック障害治療に向けてできる7つの対処法
①自分がパニック障害だと自覚する
自分が精神障害ではないかと考えてしまうと、不安になってしまいますよね。
その不安がパニック障害の原因になってしまいます。
まずは自分がパニック障害の患者だと理解し、受け入れましょう。
②理解者を探す
パニック障害は周囲からが理解されにくい病気です。
それがパニック障害を悪化させる原因にもなります。
その結果、自分だけで抱え込んでしまい、悪循環へと陥ってしまうことになります。
家族や恋人、親友に説明し、理解してもらいましょう。
自分の不安や恐怖を理解してもらえると、大きな安心に繋がります。
③体調を整える
治療法の一つでもありますが、体調を整えることも気分転換になり、さらに、運動することでストレスも発散されます。
自分の体に自信を持つことで、不安な気持が少しでも解消に繋がれば効果があると言えます。
④あきらめない心を持つ
いつ終わりが来るのかわからないパニック障害の治療中は、気分が沈んでしまうことも多いのですが、絶対にあきらめないでください。
「必ず良くなる!」という気持ちを強く持つことも治療面ではプラスになります。
⑤焦らないで気長に
今まで読んでいただければおわかりかと思いますが、パニック障害は短期間で完治するものではありません。
順調に行って約一年、長ければもっとパニック障害と闘わなければいけないかもしれません。
焦りのあまり、勝手に薬の量を変えたり、行動療法で無理をしてしまうと、また最初からやり直しになってしまいます。
少しずつでも確実に症状は良くなりますので、焦らずに取り組んでください。
⑥発作はすぐに治まると言い聞かせる
パニック障害の発作は必ず終わります。発作の時間はおよそ数秒から数分です。
それで必ず発作は終わるので、自分に言い聞かせて発作が過ぎ去って行くのを待ちます。
近くに人がいるようでしたら、話しかけて気分を紛らわすのも有効です。
⑦日記を書く
日記に毎日の気持ちの変化や思ったことを記すだけで、ストレスの発散にもなりますし、後日読み返した時に、自分の成長を感じることができるはずです。
治療の過程を振り返ると、自分がやってきた努力もわかり、更なるステップへと進めるでしょう。
さて、『パニック障害の原因と症状を知って病気に向き合う方法』はいかがでしたか?
誰にでも発症する可能性があるパニック障害ですが、まだ周囲の理解は少ないです。医師の指導のもと、きちんと治療を行えば必ず症状は改善に向かいます。
焦らずじっくり、パニック障害と向き合い、克服しましょう。
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