春の味覚としておなじみのたけのこは、漢字で書くと「筍」ですが、その名前の通り一旬で竹に成長してしまうことから、旬の時期に多く収穫されます。
一旬というのは一月の3分の1にあたる10日間のことをさしますが、収穫してすぐアク抜きをしないとアクが強くなるため、家族でたけのこ狩りに出掛けると、しばらくたけのこ料理が続くといったことも少なくありません。
旬の食べ物には体の調子を整えてくれる栄養が豊富で、たけのこも例外ではありませんが、たけのこを食べた後、どうもお腹の調子が悪い、また胃がもたれるといった悩みを持つ方もいるなど、実は食べ過ぎると逆に体に不調をもたらすことがあり、注意が必要なのです。
そこで今回は、たけのこの食べ過ぎが原因で起こる体の不調について、その原因と改善方法についてご紹介します。
たけのこの食べ過ぎが原因で起こる体の不調と改善するための方法7つ
1 たけのこの食べ過ぎは便秘や腹痛の原因になる?
たけのこには、水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれていることをご存じでしょうか?
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を含んで膨らみ、便の量を増やすことで腸を刺激して活動を活発にし、便通をよくするだけでなく腸内の有害物質を絡み取って体外に排出する働きがあります。
しかし摂り過ぎると、余った不溶性食物繊維は逆に腸で便の水分を奪い、便を固くして便秘の原因となり、また同時に、腸の調子が悪い人が不溶性食物繊維を摂り過ぎると、腸で十分に分解がされないままになり下痢を起こしてしまうのです。
その結果、腸の働きが低下することで、吹き出物や口内炎を引き起こすことになります。
さらに、たけのこには体を冷やす効果もあり、それも腹痛を起こす原因となります。
2 たけのこの食べ過ぎは胃腸の不調を招く?
たけのこには、えぐみ成分であるシュウ酸が含まれています。
野菜に多く含まれているシュウ酸は、ブドウ糖が酸化することによってできる物質で、食品の加工にも多く使われています。
多くは食品を固める凝固剤としての使用がされており、例えば豆腐を作る際、豆乳を固めるときやこんにゃくを固めるときに使われ、そのほか中華麺の風味を出すかんすいにも含まれています。
新鮮なたけのこにはシュウ酸はそれほど含まれていませんが、収穫してから時間が経つとシュウ酸が増え、体内でカルシウムと結びつくことで、結石ができる原因、また骨粗しょう症を起こす原因になります。
シュウ酸は適量であれば、腸の中でカルシウムと結びつき、便として排出されますが、過剰に摂取すると尿にも排出されてしまい、ここでカルシウムと結びつくと結石となってしまうのです。
さらにシュウ酸が大量にカルシウムと結びつくことで、常にカルシウムが不足する状態となり、十分なカルシウムが体内に吸収されないことが骨粗しょう症を進めてしまいます。
尿路結石の持病がある人は、結石ができやすい体質となっているため、特に食べ過ぎに注意が必要です。
3 たけのこの食べ過ぎはアレルギーを引き起こす?
たけのこ自体にアレルギー物質があるわけではありませんが、たけのこを食べたときに、喉がなんだかいがいがして変、また体にかゆみが出る、といったアレルギーに似た症状が出ることがあり、これはたけのこに含まれるアセチルコリンという物質が原因で起こります。
アセチルコリンは、神経に刺激を伝える物質で、副交感神経や自律神経などに多く含まれていますが、たけのこのほか、やまいもやなす、トマトなどの野菜にも多く含まれています。
この外から症状を起こす物質を「仮性アレルゲン」といい、アレルギーのように毎回症状が出るわけではありませんが、大量に摂取すると強い症状であるアナフィラキシーに似た全身の蕁麻疹、呼吸困難や頭痛を引き起こします。
これはアセチルコリンが副交感神経に刺激を与えすぎてしまい、心臓や肺、また気管支などの呼吸器官が反応して起きるものです。
ただし仮性アレルゲンは、加熱や湯切り、またアク抜きで落とすことができ、大量に摂取しなければ問題はありませんが、毎回症状が出るようであれば、病院でアレルギーの検査を受ける必要があります。
4 体を元気にしてくれる栄養が盛りだくさん!たけのこの栄養とは?
たけのこを食べ過ぎると、体に様々な影響を及ぼしますが、適量であれば低カロリーである上に女性にとってうれしい栄養もたっぷり含んでいるため、旬の時期にはぜひ食べたい食品であるといえます。
5 食べ過ぎ注意!たけのこは一日どれぐらいが適量?
それではたけのこは、一日にどれぐらいが適量なのか詳しくご紹介します。
厚生労働省が推奨する1日の野菜の摂取量は350gとなっていますが、たけのこは1本300gから400gとあります。
しかし仮性アレルゲンのことを考えると、1日あたり100gから150g程度の摂取量が適量といえます。
さらにたけのこには不溶性食物繊維が含まれていますが、便秘や下痢を解消するためには、水溶性食物繊維と一緒に摂取することが必要なので、水溶性食物繊維を含む野菜と組み合わせ、バランスよく食べることが体にとっても優しい食べ方といえます。
6 知っておきたい!たけのこと一緒に食べたいもの、やめておいた方がいいもの
たけのこでも、一緒に組み合わせると体によいもの、あまりよくないものがあります。
また通常のこんにゃくにはシュウ酸などの凝固剤が使われているため、たけのこと一緒に食べることはおすすめできませんが、凝固剤を使っていないこんにゃくであれば、一緒に食べても大丈夫です。
7 これで大丈夫!簡単にできるたけのこのアクの抜き方
それではたけのこを美味しく食べるために、簡単なアク抜きの方法をご紹介します。
米のとぎ汁や重曹を使った方法など、様々なものがありますが、今回は簡単にできる大根おろしを使ったアクの抜き方をご紹介します。
料理をする際には、小さく切ってから、煮たり焼いたりしましょう。
残った大根おろしは、すぐ使わないのであれば、冷凍庫で保存すれば半月ほどは保存できます。
大根おろしを使ったアク抜きは、米ぬかや重曹を用意する従来の方法よりも手軽にできる方法ですが、最初にたけのこを細かく切りすぎないこと、そして「しぼり汁」だけを使うようにしてください。
大根おろしをそのまま使うと、たけのこが大根おろしまみれになってしまい、それを取り除くのが大変な作業になります。
それに注意すれば、大量にたけのこがあっても、すぐ処理ができますよ!
さて、『たけのこの食べ過ぎが原因で起こる体の不調と改善するための方法7つ』はいかがでしたか?
旬の食べ物なだけに、毎日食べる機会も多いたけのこですが、不溶性食物繊維が含まれているため、大量に摂取すると胃腸にも負担がかかるだけでなく、便秘や下痢を悪化させます。
しかしたけのこには、脳を活性化させるうま味成分のチロシンや、疲労回復に役立つビタミンB1など、豊富な栄養が含まれており、旬の野菜として食べることは体の健康維持にもつながります。
適量を守り、水溶性食物繊維を含む野菜や、たけのこの栄養を活用する食材と組み合わせて食べることで、美容と健康に役立ちますので、ぜひ旬の時期には、食卓に取り入れるようにしましょう!
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