寒冷蕁麻疹の原因とひどくなる前にやるべき対処法

寒冷蕁麻疹の原因とひどくなる前にやるべき対処法

冬場に暖かい家の中から屋外に出た時に、素足で冷えた廊下を歩いた後に、かゆみや発疹の症状が出ることがありませんか?

これは寒冷蕁麻疹と呼ばれるもので、冷気などに肌が触れ、皮膚の温度が急激に下がることで発症します。

体が冷えやすいのは冬ですが、寒冷蕁麻疹は条件が揃えば季節に関係なく起こりえます。

しかし、日頃からしっかり対策を行うことで、寒冷蕁麻疹特有のつらいかゆみや発疹を予防することができるのです。

そこで今回は、寒冷蕁麻疹の原因やメカニズムといった寒冷蕁麻疹の基礎知識と、症状が悪化する前にやるべき対処法をお伝えします。


寒冷蕁麻疹の原因とひどくなる前にやるべき対処法


1 寒冷蕁麻疹のメカニズム


寒冷蕁麻疹とは、急に皮膚の温度が低下した時に起こる蕁麻疹のことです。

暖房の効いた部屋から寒い部屋に移動したり、入浴や運動などで体が温まっている時に冷たい風に当たったりすると、皮膚にかゆみや発疹が現れます。

では、急激な体温や皮膚の温度の低下が、どのようなメカニズムで寒冷蕁麻疹を引き起こすのでしょうか?

寒冷蕁麻疹発症のメカニズム

①急激な温度変化によって、皮膚組織にある肥満細胞が刺激を受ける
②刺激を受けた肥満細胞の免疫反応によって、ヒスタミンが分泌される
③ヒスタミンが皮膚の神経を刺激し、かゆみの症状を引き起こす
④ヒスタミンの血管拡張作用によって、血漿が血管外に漏れ、皮膚の赤みや盛り上がりの原因に

このように、寒冷蕁麻疹の症状は、皮膚の温度変化によって分泌されるヒスタミンによって引き起こされます。

しかし、このヒスタミンの分泌反応は、皮膚の下にあるの肥満細胞に備わっている免疫反応の一種で、体を様々な細菌や刺激から守るために必要不可欠なものなのです。

免疫反応をなくすことはできませんから、寒冷蕁麻疹にならないために、体調や環境を整え、肥満細胞に過剰な刺激を与えないようにする必要があります。


2 身近にある寒冷蕁麻疹リスク


暖房が効いている室内から外に出るなど、体の急激な温度変化によって引き起こされる寒冷蕁麻疹ですが、日常生活のいたるところにそのリスクが潜んでいます。

寒冷蕁麻疹のつらい症状を予防するために、発症しやすい状況をできるだけ作らないようにすることが大切です。

要注意!寒冷蕁麻疹リスクの高まる4つの状況

体が温まっている時に冷気にあたる

冬の朝にまだ暖まっていないフローリング床を素足で歩く、入浴後に暖房をしていない脱衣所に出るなどの行動は、体の急激な温度変化の原因となります。

暖かい場所から寒い場所への移動時

屋内から屋外へ出た時はもちろんですが、屋内の移動時でも寒冷蕁麻疹が起こることがあります。

汗をかいた後の体温低下

運動後や、暖房の効き過ぎた室内では汗をかきやすくなります。
その状態で冷気に触れると、体が急激に冷えてしまいます。

夏場の体を冷やす行動

暑いからといって冷たい物を食べ過ぎたり、冷房の風に直接あたったりしていると、夏でも寒冷蕁麻疹になる可能性があります。

急激に体が冷えるような行動や習慣を避ければ、寒冷蕁麻疹の発症を抑えることができますので、寒冷蕁麻疹になりやすい状況を作らないように、普段の行動を見直してみましょう。


3 寒冷蕁麻疹になりやすい人


寒冷蕁麻疹は、環境や条件によって季節に関係なく誰にでも起こる可能性がありますが、体質によってもその発症リスクが異なります。

寒冷蕁麻疹になりやすい人

・冷え性の人
・痩せ型の人
・鳥肌が立ちやすい人
・冬場に厚着をして汗をかきやすい人
・早朝や夜間など、気温が低い時間帯に屋外で運動する習慣のある人

冷え性や鳥肌の立ちやすい体質の方は、自律神経のバランスが崩れ、血行不良や体温調節機能が正常に働きにくい状態になっていることが多く、蕁麻疹の症状が現れやすいのです。

また、厚着や運動で体が温まったときに、冷たい風や空気に触れると寒冷蕁麻疹になることがあります。

寒冷蕁麻疹になりやすい体質に当てはまる方、仕事やプライベートで体を動かすことが多く汗をかきやすい方は、十分に気をつけてくださいね。


4 ヒスタミンの大量分泌による症状


寒冷蕁麻疹の代表的な症状と言えば、皮膚の赤みと発疹、そしてかゆみです。

寒冷蕁麻疹の症状の現れ方には、冷えた部分のみに症状が現れる局所性、全身の冷えから全身に症状が現れる全身性の2種類があります。

つまり、直接冷たい空気に触れていない部位の皮膚や、全身に症状が現れることがありますので、寒冷蕁麻疹であると気付きにくいこともあるのです。

寒冷蕁麻疹の発疹はヒスタミンが血管に作用することで起きるため、皮膚が赤く腫れあがる膨疹であり、痛みや熱っぽさを感じることもありますが、多くの場合は数時間で症状が治まります。

一方で、このヒスタミンの作用によって、かゆみや発疹以外にも様々な不調が現れる可能性がありますので注意が必要です。

ヒスタミンの分泌によって起きる症状

頭痛やめまい

ヒスタミンの血管拡張作用によって血圧が低下し、頭痛やめまいが起きることがあります。

アレルギー

ヒスタミンは、寒冷蕁麻疹以外のアレルギー症状の原因でもあります。
アレルギー体質の方は、ヒスタミン分泌のきっかけとなる食生活と生活習慣を改善し、アレルギー症状の悪化を防ぎましょう。

疲労やストレスなどで体の抵抗力や免疫力が低下しているときは、特に寒冷蕁麻疹が起こりやすいため、規則正しい生活を心がけ免疫力を高め、寒冷蕁麻疹を予防しましょう。


5 寒冷蕁麻疹が発症したときの対処法


寒冷蕁麻疹の症状が出た時は、どのように対処すればいいのか、基本の対処法は次の3つです。

寒冷蕁麻疹の対処法

・温める
・掻かない
・医療機関で抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を処方してもらう

一般的な蕁麻疹は患部を冷やすことでかゆみを抑えられますが、寒冷蕁麻疹の場合その対処法は逆効果になってしまいます。

また、かいてしまうと皮膚が傷つき感染などを引き起こすことがありますので、絶対にかかないようにしてくださいね。

かゆみが強くて我慢できないという場合は、汗をかかない程度に全身を温めると強いかゆみの症状が軽減されます。

一方、繰り返す寒冷蕁麻疹の症状にお悩みの方は、医療機関を受診して薬を処方してもらうのがおすすめです。

抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬を医師の指示通りに服用すれば、症状の回復を早めることができます。

寒冷蕁麻疹の症状を悪化させない、繰り返さないためにも、基本の対処法を実践してみましょう。


6 再発を防ぐためにはしっかり予防する


寒冷蕁麻疹は一度治っても、再び急激な体温変化が生じることで、いつでも再発する可能性があります。

しかし、日常生活でポイントを押さえた予防法を実践すれば、予防することができるのです。

寒冷蕁麻疹の予防方法5つ

・過度の暖房・冷房を避け、適温を保つ
・急激に体が冷えないよう、服装や食べ物に気を配る
・廊下や脱衣所など、他の部屋と温度差が生じやすい場所を温めておく
・運動後はしっかりクールダウンをして、体温の低下を穏やかにする
・乾燥肌の改善、保湿をする

体を急に冷やさなければ、寒冷蕁麻疹は発症しません。

室内や廊下を暖房や冷房で快適な温度に保ち、靴下やスリッパなどで冷えやすい足下をしっかり保温してくださいね。

また、寒冷蕁麻疹になりやすい体質の方、肌のバリア機能が低下した乾燥肌の方は、元々肌が刺激を受けやすい状態ですので、寒冷蕁麻疹の症状が強く出ることがあります。

ご紹介した予防法を徹底することはもちろん、規則正しい生活や保湿などを心がけ、体の外側だけではなく内側も寒冷蕁麻疹が起きにくい環境に整えていくことが大切です。

ただ、ちょっとしたことで体は冷えてしまいますから、ご紹介した予防法を意識して、冬だけではなく1年を通して体を冷やさないようにしましょう。


体の急な温度変化をきっかけに発症する寒冷蕁麻疹は、季節を問わず1年中発症リスクがあります。

体質や環境などが要因となってヒスタミンが分泌され、発疹とかゆみ、頭痛などの症状が現れますが、適切に対処すれば症状の悪化や再発を防ぐことができます。

血行不良が原因であるしもやけと似た症状であるため、しもやけと勘違いして対処が遅れてしまうこともありますので、注意が必要です。

すぐに治まる発疹やかゆみの症状を繰り返している、しもやけにはなりにくい場所に症状が出るという場合は、寒冷蕁麻疹である可能性が高いため、ご紹介した内容を参考に、早めに対処してくださいね。

まとめ

寒冷蕁麻疹の原因とひどくなる前にやるべき対処法

1 寒冷蕁麻疹リスクの高まる4つの状況
・体が温まっている時に冷気にあたる
・暖かい場所から寒い場所への移動時
・汗をかいた後の体温低下
・暑いからといって冷たい物を食べる

2 寒冷蕁麻疹の対処法
・温める
・掻かない
・医療機関で抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を処方してもらう

3 寒冷蕁麻疹の予防法
・過度の暖房・冷房を避け、適温を保つ
・急激に体が冷えないよう、服装や食べ物に気を配る
・廊下や脱衣所など、他の部屋と温度差が生じやすい場所を温めておく
・運動後はしっかりクールダウンをして、体温の低下を穏やかにする
・乾燥肌の改善、保湿をする


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