食べても食べても満腹感を感じない、次々食欲が湧いてきてしまう、、、これが10代の子どもであれば、元気な証かもしれませんが、特に運動などをしていない大人となると危険です!
実は止まらない食欲の裏には、怖い病気が潜んでいる可能性があるのです!
そこで今回は、止まらない食欲、満腹感を感じない原因と、通常の食欲に戻すための方法をご紹介します。
食べても食べてもお腹が空くのは病気の兆候?原因と治す方法8つ
1 空腹と血糖値の関係
人間はなぜお腹が空くのか、、、それは胃の中が空っぽだからです。
という事は空腹とは、栄養がない状態、エネルギーが足りていない状態の事で、エネルギーの大部分は糖質です。
糖質とは
糖を主成分とした成分の事で、炭水化物の事をいうのですが、厳密にいうと炭水化物は糖質と食物繊維が含まれています。
糖質は穀物、芋類、砂糖に含まれ、生きていく上でのエネルギーになります。
糖質と糖類の違い
炭水化物や砂糖に含まれているのが糖質なら、糖類は糖質の中に含まれる成分の事です。
糖類には単糖類と二糖類があり、単糖類はブドウ糖や果糖、二糖類には砂糖や麦芽糖などがあります。
必要な糖質の摂取量
成人の場合、1日約100gの糖質摂取が最低ラインで、デスクワークの人であれば260g摂取が適正であると考えられています。
糖質(エネルギー)が足りないと血糖値が下がります。
血糖値とは
血糖値というのは血液の中にあるブドウ糖の割合を意味しています。
体の中でエネルギーとして働くブドウ糖は一定の濃度に保たれています。
このバランスを保っている物質がインシュリンです。
食事をすると、糖質が小腸まで運ばれてグルコースになり、血液と共に全身に運ばれてエネルギーとして消費されます。
つまり食事によって血糖値は急激に上がるのです。
そうすると、血糖値を下げようと脳からインシュリンが分泌されます。
この血糖値が下がりすぎると、脳は「血糖値を上げる為に食べなさい」と指令を出します。
これが空腹という事です。
つまりお腹が空くというのは、血糖値の上下と大きな関係があるという事です。
暴飲暴食や絶食などを繰り返すことで、脳内のインシュリンの分泌バランスが崩れると食欲に影響を与えます。
食欲を司るホルモンには、グレリンとレプチンがあります。
グレリンとレプチン
レプチン
食事のあとに分泌されるホルモンで、満腹感を与えるもので、脂肪細胞から分泌されます。
グレリン
グレリンは胃から分泌されるホルモンで、食欲中枢を刺激してお腹を空かせます。
その原因は「血糖値」で、血糖値が上がりすぎるとインシュリンが力を発揮できず、レプチンの活動が抑制されグレリンが増え、食欲が止まなくなります。
2 食べても食べてもお腹が空くきっかけは何か
食欲が止まらなくなる現象がなぜ起こるのか、その理由をご紹介します。
脱水症状の為にお腹が空く
体内に水分が十分に行きわたらないと、体が水分が欲しいと「空腹」の指令を出します。
すると、喉が渇いているのにお腹が空いているような気分になるのです。
水分が不足している所で食事をすると喉が渇いて乾燥した口の中に唾液が分泌される為、一時的に渇きが紛れたように感じます。
お腹が空いているのではなく、本当は喉が渇いていると気づかない場合もあります。
また、清涼飲料水を飲みすぎると、グレリンが分泌され、より空腹になります。
睡眠不足でお腹が空く
極端に睡眠時間が不足すると、満腹中枢を司るレプチンが減少して、食欲を増進するグレリンが増えます。
ですから食欲が増加します。
また、甘いものや炭水化物などをより欲しくなる傾向があります。
朝ごはんを食べないとお腹が空く
朝ごはんを食べないと、前日の夜以降、何も食べていない事になるので低血糖状態に。
低血糖になると、脳が「血糖値を上げる為に食べなさい」と指令を出します。
なのでついつい夜に食べ過ぎる事に。
食べ過ぎるとインシュリンバランスが崩れ、常に脳が「食べたい」指令を出してしまう為に急激に何かを食べたくなる衝動にかられたりします。
朝食をしっかり食べる事で、血糖値の上昇が一日を通してゆるやかになる為、食欲が安定します。
糖分を摂りすぎるとお腹が空く
甘いものや糖類を沢山食べすぎると、満腹中枢に異常が現れ、食欲を抑制するレプチンの分泌が遅れ、逆に空腹感を伝えるグレリンが活発になります。
脳内ではいつも「食べろ」と指令を出す事になります。
ストレスが溜まることで栄養不足になる
イライラしてストレスがたまるとグレリンが増えて食欲を増進させてしまいます。
一気に食べたり、不必要なものまで食べてしまう原因になります。
また、タンパク質による栄養が足りていないと、低血糖になり、脳が「血糖値を上げる為に食べなさい」と指令を出し続ける事になります。
空腹に任せて糖質を多く摂取すれば急激に血糖値が上がりインシュリンが分泌されます。
この繰り返しが激しくなるとホルモンバランスが崩れレプチンよりグレリンが増え、食欲が抑えられなくなるのです。
良質なタンパク質を摂る事が大事です。
3 食べても食べてもお腹が空く過食症による空腹感の原因と兆候
過食症とは「神経性大食症」と呼ばれる、食欲をコントロールできない病気です。
症状としては
- 一定時間にひたすら食べ物をお腹に詰め込んでしまう
- お腹が一杯になっても食べる事をやめられない
- カロリーの高いもの、甘いもの、脂っこいものを好む
- 食べている時は頭が真っ白になり、気分が高揚する
- 食べ終わったあとに罪悪感にかられ、吐いてしまう
などがあります。
過食症の原因は、次の4つが考えられます。
ダイエットとストレス
最初は軽い気持ちでダイエットする為に食事制限をするのですが、どんどんエスカレートして「拒食」になります。
拒食症の反動から食べる事をやめられなくなるケースや、体型や家庭環境へのコンプレックスがストレスとなり、それを忘れる為に過食に陥る場合があります。
無茶食い障害
短時間で大量の食べ物を食べ、あまり時間をおかずにまた過食するサイクルでカロリー摂取が多すぎて肥満になります。
過食嘔吐
過食嘔吐とは我を忘れて無心に食べ物を詰め込み、はっと気づいて「なぜこんなに食べたのか」と激しく自分を責め、おう吐によって清算しようとする行為です。
食べては吐く行為を繰り返します。
低血糖
最近では低血糖による過食症という定義が出てきました。
炭水化物や甘いものを多くとると血糖値が急激に上がります。
血糖値を下げる為にインシュリンが過剰分泌され低血糖に陥ります。
すると脳は危機感を覚え、血糖値を挙げる為に「食べろ」と指令を出します。
このような状態では食欲をコントロールできなくなり過食症になるのです。
過食症の原因には心や性格、生育歴が大きく関係しており、残念ながら過食症を治す薬がないのが現状です。
まず病気に気づいたら、自分で何とかしようとせず、専門医を受診しましょう。
4 食べても食べてもお腹が空く糖尿病の原因と兆候
糖尿病とはうまくブドウ糖を取り入れる事が出来ず、血糖値が高くなる病気の事です。
症状としては
- のどの渇き
- 頻尿
- 体重が急激に減る
- 目がかすむ
- 尿に糖が出る
- 尿の泡立ちが消えない
- 立ちくらみ
- 手足のしびれ
などがあります。
糖尿病になると血糖値を下げるインシュリンの作用がうまくいかなくなります。
インシュリンの作用が狂うと満腹中枢の働きも抑えられてしまうので、食べても食べても満腹しなくなるのです。
そして糖尿病には、次の3タイプがあります。
1型糖尿病
遺伝や環境が原因と言われていますが、本当の原因はまだわかっていません。
2型糖尿病
糖尿病患者の95%がこの2型糖尿病で、運動不足による肥満や食べ過ぎ、加齢、ストレスなどが原因になっています。
妊娠糖尿病
妊娠時に現れる糖尿病で、赤ちゃんに合併症が出る事も。
他にも遺伝子の異常や肝臓の病気、感染症、免疫の異常などが原因の糖尿病もあります。
糖尿病の治療は食事療法と運動療法、薬物療法があります。
5 食べても食べてもお腹が空く甲状腺機能亢進症の原因と兆候
甲状腺の病気は機能亢進症と低下症も含めて女性に多い病気です。
甲状腺とは
甲状腺はのどぼとけのすぐ下にあるところで、左右対称の蝶々のような形をしています。
ここから甲状腺ホルモンという、生きていくうえに欠かせないホルモンが分泌されるのです。
甲状腺の役割は
- 脳の働きを活発にする
- 体温の調節
- 胃腸心臓の働きを活発にする
- 新陳代謝をよくする
などです。
何らかの理由で甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると甲状腺機能亢進症になります。
症状としては、次の5つがあります。
頻脈、動悸、不整脈
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される為に、酸素の消費量が増えるので心拍数があがります。
つまり、いつも運動をしているような状態になります。
多飲多尿、多汗
甲状腺ホルモンが分泌されると基礎代謝が上がるので汗をかきやすく、結果として喉が渇きます。
甲状腺の腫れ
甲状腺が腫れると、首から鎖骨の上のあたりがはれているのがわかります。てでさわった時にしこりで気づく場合も。
多食体重減少
甲状腺ホルモンが活発になると代謝が上がり、食欲が止まらなくなります。
しかも体重が減ります。
眼球突出
甲状腺機能亢進症の中にバセドウ病がありますが、この症状として目が飛び出るような症状が現れる事があります。
他にもめまいや高血糖、生理不順や抜け毛、イライラしやすいなどの症状があります。
甲状腺機能亢進症を診断するためには
- 血液検査
- 心電図
- 放射性画像診断
- 生体組織検査
- 超音波検査
を経て、投薬による治療、手術により甲状腺を切除する方法、放射性ヨードという薬を服用し、放射線によって甲状腺組織を破壊する方法などがとられます。
甲状腺機能亢進症の人はタンパク質を多めにとる食事や水分の補給、亜鉛をしっかり摂取する事が大切です。
6 妊娠による空腹の原因と兆候
妊娠の初期には、食べても食べてもお腹が空き、食べていないと胃もたれや胃のむかつきが起こる「食べづわり」になる事があります。
妊娠中は妊娠前よりインシュリンが多く分泌され血糖値が下がります。
すると脳が「食べろ」のサインを出し、空腹を感じやすくなるのです。
炭水化物や糖質の摂りすぎに気を付けましょう。
7 食べても食べてもお腹が空くのは認知症かも?
認知症になると血糖値が上がっても満腹中枢が機能せず、いくら食べてもお腹が一杯になりません。
また、認知症は記憶障害の為、食事をした事を忘れてしまう為、常に空腹になります。
対処法としては一回の食事の量を減らして回数を増やす事などがあります。
8 食べたい欲求を抑える方法
病気でなくても、何となくいつもお腹が空いているとか食べたりないと感じてしまう事はあるでしょう。
不規則な生活、ストレスだらけの生活のはけ口が食欲に向かう事も。
けれど、食べ過ぎては体重が増えすぎて肥満になってしまいます。
そこで食欲を上手に抑える方法を5つご紹介します。
炭酸水を飲む
炭酸水を飲むと胃が膨れます。
さらに炭酸には代謝をよくする効果があり、エネルギーの消費量が増えダイエット効果も。
しかし、糖類が入った炭酸ではなく無糖のものを選びましょう。
運動をする
運動をすると、アドレナリンが分泌され一時的に血糖値が上がる為、食欲が抑えられます。
空腹の状態で運動をするとエネルギーを脂肪から消費しようとするため、さらに効果的。
よく噛んで食べる
食事を早く終わらせようとすると、血糖値が上がらない状態で食事が終わってしまうので、満腹感を感じません。
最低20回以上噛み、時間をかける事で満腹感をえられます。
食物繊維から食べる
炭水化物を摂る前に食物繊維を食べると血糖値の上昇がゆるやかになります。
感覚から食欲を抑える
例えば、歯磨き粉の感じが口に残る状態では食事をする気分にならないという事で、食事のすぐ後に歯磨きをしてみる。
また、「青いふりかけ」をかけて食べる気にならない方法があります。
他にはガムを噛む事で満腹中枢に働きかけたり、睡眠をたっぷりとることで満腹中枢を刺激する「レプチン」が分泌され、食欲を抑えます。
さらに手軽に食べ物を買わないなどの方法があります。
さて、『食べても食べてもお腹が空くのは病気の兆候?原因と治す方法8つ』はいかがでしたか。
本来食べる事は楽しい筈なのですが、いくら食べてもお腹が空く状態というのは不幸な事です。
規則正しい生活とストレスの回避、必要な栄養をしっかり摂って、「お腹が一杯で嬉しい」という気持ちになれたらいいですね。
適度な運動やよく噛んで食べる事などは、日常生活のちょっとした気遣いでできる事ですので、ぜひ試して下さいね。
今、あなたにオススメ